生まれつきの天才はいない!

「人格は、くり返す行動によって作られる。ゆえに優秀さを決めるのは、単発的な行動ではなく習慣である」

アリストテレス思想家のジョフ・コルヴァンは、著書『究極の鍛錬』のなかで、卓越した業績は、生まれ持った才能ではなく、計画性をもった鍛錬によって作られる、と述べている。コルヴァンはタイガー・ウッズからウィンストン・チャーチルまで各界で活躍する著名人を分析した。その結果、成功の鍵を握るのは、鍛錬の方法とパフォーマンスの自己分析、自身の進歩とミスの検証の仕方だという結論に達した。

非凡な結果を出すための唯一の方法は、鍛錬なのだ。私も彼の意見には、おおむね賛成だ。計画性のある鍛錬をくり返すのが上達への唯一の道だと、私自身もさまざまな経験から感じている。モーツァルトが子ども時代に交響曲を作曲できたのは、驚くことではない。幼少時代までに、すでに一般の人が生涯に聴くより多くの音楽を浴びていたのだから。モーツァルトをたぐいまれな天才だと評する人はいる。しかし、彼の音楽の才は、卓越した鍛錬の結果という証拠のほうが、はるかに多い。

「神童」の代表例のように言われるモーツァルトだが、生まれつきの才能が幾分あったにしても、その天才ぶりには、「育ち」が果たした役割が見逃せない。モーツァルトの父は優秀なヴァイオリン奏者で、幼い息子に朝から晩まで音楽の勉強と練習をさせた。ヴァイオリン、ピアノ、声楽、音楽理論、作曲。モーツァルトは四歳にして、長いピアノ曲を暗譜でミスなく演奏した。

初めてピアノ協奏曲を作曲したのは五歳のときだ。五歳上の姉は、「弟は、音楽に没頭しはじめると、およそ他のことに興味がいかなかった」と話している。モーツァルトは生まれつきの天才ではなく、父レオポルドの音楽教育によって作られた天才なのだ。

天才チェスプレーヤー三姉妹を育てたラズロー・ポルガーは、著書「天才を育てなさい!」(BringupGenius!)で、どんな子どもでも正しい環境さえ与えてやれば、いかなる分野でも卓越した結果を出すことができる、と述べている。

先天的な能力の不足は、努力で補えるのだ。この説には懐疑的な意見もあったため、ラズローは学校教師のクララとの間にスーザン、ソフィア、ユディットの三姉妹をもうけ、実践で証明してみせた。ラズローが、娘を何の分野の天才にすべきか迷っていたとき、幼いスーザンが戸棚にあったチェス盤を見つけた。これが彼女の運命を決めた。

アマチュアのチェスプレーヤーであるラズローは、女性チェスプレーヤーの神童を育てる決心をした。しかも一人ではない。男性が支配するチェス界に、三人の女性の天才を送り込もうとしたのだ。姉妹は四歳になると、綿密に計画されたトレーニングを受けた。学校には通わず、ブダペストのアパートメントで両親から自宅教育を受けた。毎日八時間から一〇時間チェスをし、世界中を旅して大会に出場した。果たしてラズローの理論は証明された。

長女のスーザンはチェス界初の女性世界チャンピオンになり、女性限定の世界ランキングで二位になった。ソフィアも世界クラスのプレーヤーになった。ただしふたりとも、勝てなかった相手がいる。一番下の妹のユディットだ。ユディットは、最も有名な女性チェスプレーヤーであり、世界ランキングでトップテン入りした最初の女性となった。

「チェスをしていなかったら、どんな分野で優秀になれたと思いますか?数学ですか?」とたずねられ、ユディットはこう答えている。「私がチェスに費やしてきたのと同じ時間をかければ、どんな分野でも優秀になれたと思います」

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