GDPを上回った政府の債務

日清・日露戦争期をも上回る水準一九九〇年代に入ってから、大規模な景気対策が繰り返し発動されてきた。

九二年から九五年の間に六度にわたって合計六六兆円もの対策が行われた。また、九七年四月の消費税率の引き上げに先だって、九四年から九六年の三年間で一六・五兆円の先行減税も行われた。さらに、九八年に入って、四月に一六兆円超の総合経済対策が決定され、一一月にはさらに一七兆円を超える緊急経済対策が発表された。

これに、九九年度の恒久的減税六兆円超を加えると、対策規模は約二四兆円にもなった。景気対策であれば「何でもあり」ということで、規模がどんどん拡大した。こうしてできた史上最大規模の対策が、繰り返し行われた。

この結果、国の財政は九八年度の補正後予算できわめて悪化した姿をさらけ出すことになってしまった。一般会計の歳出総額は八八兆円で、九〇年度に比べると九兆円近く膨張している。歳出のうち、国債の利払い費は市場の金利で決まるので、他の経費のように政治で制御できるものではない。

また、地方交付税は税収から自動的に天引きされ、地方の支出に回される。これらの二つの経費を除いた支出は一般歳出と呼ばれるが、九八年度補正後では五五・五兆円になった。九〇年度から一七・七兆円も拡大した。これに対して、九八年度の租税印紙収入は五〇・二兆円に過ぎない。九〇年度に比べ一〇兆円も少ない。

この間、経済規模(名目GDP)が一三%拡大したのに対して、税収は一六%も減少した。景気停滞で税収が減少するというビルト・イン・スタビライザーが作用したことに加えて、減税を繰り返し行ってきたためである。この間の税収の減少幅はGDPの四%相当で、九八年度だけで約二〇兆円もの国税が民間に還流したことになる

税収のなかから、国債費と地方交付税に支払われる金額を除くと、国民の手元には一七・七兆円しか残らない。予算書のはじめ部分にある社会保障費と義務教育国庫負担金の合計にも満たない。残り三分の二の経費には、それらをまかなう財源がない。

21世紀も赤字が続いてしまう

このため、国債発行額は三四兆円と過去最大となった。そして、国債依存度は三八・六%と、ロクイチ国債(クーポンレートが六・一%で七八年度に八・八兆円発行された一〇年国債)が額面一〇〇円に対して八三円に大暴落した七九年度の三四・七%を突破し、過去最高となった。

地方政府も、税収の減少と景気対策とで財政赤字が拡大した。地方の財政赤字は対GDP比で見て九七年度二・一%から九八年度三・二%へと上昇した。東京都や神奈川県までが財政非常事態を宣言した。

このため、九八年度の国と地方の財政赤字対GDP比は九・八%にも達することになった。さらに、九八年中に旧国鉄と林野事業特別会計の累積債務が一般会計に移されたので、これを加えると、九八年度の国と地方の赤字の対GDP比は一五%を超えてしまった。海外の主要国について見ると、国と地方を合わせた九八年の財政収支の対GDP比は、アメリカとイギリスでは各々、〇・五%の黒字、〇・四%の赤字とほぼ均衡している

また、九九年からの欧州通貨統合に参加した国々では、すべて三%以下の水準である。通貨統合に第一陣で参加できなかったギリシャですら、二・七%の赤字に過ぎない。これらは、日本の地方政府の赤字よりも少ない水準である。九八年八月に短期国債の債務返済遅延で金融危機に陥ったロシアですら、九七年の財政赤字がGDP比九・七%であったことを考えれば、わが国財政は目を疑うほどの窮状である。

こうした結果、国と地方の税金で将来返済されるべき政府債務のGDPに対する比率は、九七年度末の九五・一%から、一一一・七%になった。九八年は、政府債務残高が経済規模を上回った年として、長く国民の記憶に残るであろうし、また残さねばならない。明治以降のわが国の歴史を振り返っても、経済規模を超えて政府債務が拡大したのは、第二次世界大戦の期間を除いて存在しない

国の長期債務に短期国債などの短期債務を合計したものであるが、それだけで九七年度末で七八%に達し、すでに日清・日露戦争期を上回ってしまった。他の先進主要国との比較で見ると、政府債務残高の対GDP比は、アメリカ、フランス、ドイツでは六〇%程度であるのに対して、イタリアと日本が図抜けている。

九八年末のイタリアは一一八・五%と見込まれており、漸減傾向にあるので、二〇世紀中にも、日本は先進主要国で最も巨額の債務残高を抱える国になってしまいそうである。

しかも、次に述べるように、このままでは二一世紀も財政赤字の拡大が続いてしまう。

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